第68回 最新学術情報
最近掲載されたLCH関連の論文抄録を紹介します。
1)「新規に診断された成人LCH患者に対する低用量シタラビンを用いた第2相試験」
Phase 2 study using low dose cytarabine for adult patients with newly diagnosed Langerhans cell histiocytosis.
Chang L, et al. Leukemia. 2024 Apr;38(4):803-809.
LCHには標準化された第一選択療法がない。この単一施設の第2相前向き試験(NCT04121819)では、2019年10月~2022年6月までに多臓器または単一臓器多病変型と新規に診断された成人LCH患者61名が登録された。シタラビン皮下注(100mg/m2、5日間)が35日間隔で計12回投与された。主要評価項目は無イベント生存率(EFS)であった。年齢の中央値は33歳(範囲:18-66)であった。12例(19.7%)に肝臓病変があり、そのうち2例は脾臓にも病変があった。次世代シクエンスによる遺伝子解析を受けた43例において、BRAF変異(44.2%)が最も多く検出され、次いでTP53(16.3%)、MAP2K1(14.0%)、IDH2(11.6%)が検出された。MAPK経路の変異は28例(65.1%)に検出された。全奏効率は93.4%で、20例(32.7%)が完全奏効、37例(60.7%)が部分奏効であった。追跡調査期間の中央値30か月で、21例(34.4%)が再発したが死亡例はなかった。推定3年OSおよびEFSはそれぞれ100.0%および58.5%であった。多変量解析により、3つ以上の臓器に病変があること(P=0.007、HR 3.937、95% CI: 1.456-9.804)、診断時に肺病変があること(P=0.028、HR 2.976、95% CI: 1.126-7.874)がEFS予後不良因子として抽出された。頻度の高いグレード3-4の毒性は、好中球減少症(27.9%)、血小板減少症(1.6%)、吐気(1.6%)であった。結論として、シタラビン単独療法は新規に診断された成人LCH患者に対して効果的で安全なレジメンであるが、診断時に肺病変または3つ以上の臓器に病変がある例の予後不良である。
2)「LCHとnon-LCHに対するダブラフェニブとトラメチニブ」
Dabrafenib and trametinib in Langerhans cell histiocytosis and other histiocytic disorders.
Cournoyer E, et al. Haematologica. 2024 Apr 1;109(4):1137-1148.
LCHの標準治療は化学療法であるが、不応例や再発例は多い。ほとんどの症例にMAPキナーゼ活性化変異が見られるため、難治や再発患者の治療にはBRAF阻害剤およびMEK阻害剤が効果的である。しかし、小児における長期反応性に関するデータは限られており、第一選択療法として使用した報告は存在しない。ダブラフェニブおよび/またはトラメチニブが、34例の組織球症(LCH 26例、若年性黄色肉芽腫2例、Rosai-Dorfman病2例、孤発性中枢神経組織球症4例)に対して、第一選択として、または、化学療法に対し不応/再発後に用いられた。16例(1.3~21歳)は再発または化学療法抵抗性で、そのうち9例はリスク臓病変を伴う多臓器型LCHであった。治療期間の中央値は4.3年で、15例(94%)が良好な反応を維持している。18例(0.2~45歳)は第一選択治療として阻害剤を投与された。治療期間の中央値は2.5年で、これらの全例が良好な反応を維持している。孤発性中枢神経/下垂体組織球症の3例に病状の安定または改善が得られた。全体として、阻害剤の忍容性は良好であった。単一臓器型LCHの5例は治療を中止され、再発することなく経過している。対照的に、治療を中止された多臓器型の4例全てが再発した。このデータは、小児組織球症はダブラフェニブまたはトラメチニブで安全かつ効果的に治療可能であることを示唆している。ただし、長期的な安全性と最適な治療期間を決定するには、さらに研究が必要である。
3)「組織球/樹状細胞腫瘍患者の人口統計と合併する血液腫瘍」
Demographics and additional haematologic cancers of patients with histiocytic/dendritic cell neoplasms.
Pudis M, et al. Rev Esp Med Nucl Imagen Mol (Engl Ed). 2024 Jan-Feb;43(1):14-22.
【目的】多くの組織球症は、体細胞遺伝子変異の発見によって血液腫瘍であることが確立された。オランダの組織球症患者の人口統計学的特徴と合併する血液腫瘍を調査することを目的とした。【方法と結果】オランダ全国病理学データバンク(Palga)から組織球症患者に関するデータを取得した。1993年~2022年に、病理学的に組織球症と診断された4,000例以上の患者がPalgaに登録されていた。黄色肉芽腫が最多で、組織球症の中でLCHが最も多いというこれまでの説とは異なった。LCHおよび若年性黄色肉芽腫(JXG)は、生後数年間に発生ピークを認めた。全ての組織球症において、男性が優位であった。118例は組織球症以外の血液腫瘍を合併し、そのうち107例(91%)は成人になって組織球症と診断時されていた。118例中16例において、組織球症および合併する血液腫瘍の両者で遺伝子変異解析がされていた。これら16例中11例において、両者で同一の遺伝子変異が検出された。これには、PAX5 p.P80R変異陽性のBリンパ芽球性急性白血病に続発した組織球肉腫の2例が含まれ、PAX5の変異によりB(前駆)細胞が骨髄系に分化しやすくなる可能性があることがさらに裏付けられた。11例中4例は骨髄性腫瘍を合併し、4例全てで両者にN/KRAS変異を認めた。【結論】この研究では黄色肉芽腫が高頻度であった。さらに、組織球/樹状細胞腫瘍と、合併する骨髄性またはリンパ性腫瘍は、同一クローンである証拠がさらに増えた。特に成人の組織球症患者は、これらの関連する血液腫瘍の発症について慎重に評価する必要がある。
4)「non-LCH組織球症の眼および眼周囲皮膚・粘膜病変の臨床病理学的研究」
Clinicopathological study of ophthalmic cutaneous and mucocutaneous non-langerhans cell histiocytic lesions.
Alkatan HM, et al. BMC Ophthalmol. 2024 Mar 19;24(1):124.
【背景】組織球症の「Cグループ」は、皮膚、粘膜表面、またはその両方に病変のあるnon-LCH組織球症で、若年性黄色肉芽腫(JXG)の皮膚病変が最も頻度が高い。眼はJXGの皮膚外病変として最も頻度が高い病変部位であり、成人発症黄色肉芽腫(AXG)を含む「Cグループ」の疾患に関する臨床および病理組織学的経験を述べる。【方法】1993年1月~2018年12月の25年間に診療した、眼および眼周囲の皮膚および粘膜病変のあるnon-LCH組織球症と組織診断を受けた全ての患者を後方視的に分析した。【結果】20例が「グループC」疾患と診断され、年齢の範囲は2か月~60.9歳であった。11例(55%)が女性、9例(45%)が男性であった。病変はほとんど(80.9%)が片側性であった。全ての症例は黄色肉芽腫ファミリーに分類され、11例がJXG、8例が皮膚および眼表面のAXG、1例が孤立性網状組織球腫(SRH)であった。JXGの病変部位は、眼瞼が5例(45%)、眼表面が2例(18%)、虹彩が2例(18%)、脈絡膜と両側眼窩が各1例(9%)であった。AXGの病変部位は、眼瞼が4例、眼表面が4例であった。Non-LCHの組織球は、免疫組織化学的染色で、CD68陽性、S-100およびランゲリン陰性が特徴であった。【結論】まれな組織球症の中で、黄色肉芽腫症が最多で、臨床症状は幅広い。正確な診断は、典型的な病理組織学的所見によって確定されるべきである。JXGは最も頻度が高く、発症時の平均年齢は比較的高く、虹彩よりも眼瞼病変が多かった。AXGでは、角膜輪部病変を伴う眼瞼病変が比較的多く、黄色腫と混同されることが多い。
5)「LCHにおける18F-FDG PET/CTの有用性」
The value of 18F-FDG PET/CT in Langerhans cell histiocytosis.
An R, et al. Ann Nucl Med. 2024 Mar;38(3):238-245.
【目的】LCHの診断および病勢評価における18F-FDG PET/CTの有用性を評価することを目的とした。【方法】病理学的に診断れた31例のLCHを後方視的に分析した。LCHに対する治療を受け、有効性評価のためにPET/CTを受けた患者において、PET/CT画像を体系的に分析した。さらに、LCH患者の臨床データと検査データが収集し、これらのデータとPET/CT代謝パラメーターの間の相関関係を分析した。【結果】31例のうち30例(96.7%)に少なくとも1つのPET/CT陽性病変を認め、1例はPET/CT陰性の皮膚病変のみを認めた。31例中15例(48.4%)が単一臓器(SS)型(孤発病変が9例、多発病変が6例)、16例(51.6%)が多臓器(MS)型(低リスク6例、高リスク10例)であった。骨病変を20例(64.5%)、リンパ節病変を12例(38.7%)、下垂体病変を3例(9.7%)、肝臓病変を2例(6.5%)、軟部組織病変を2例(6.5%)、甲状腺病変を1例(3.2%)、胸腺病変を1例(3.2%)、肺病変を8例(25.8%)に認めた。化学療法を受けた13例において計21回のPET/CT追跡スキャンが実施され、固形腫瘍におけるPET反応評価基準(PRECIST)1.0に基づく評価で、13回(61.9%)が代謝的部分寛解(PMR)、6回(28.6%)が代謝的疾患進行(PMD)、2回(9.5%)が代謝的疾患安定(SMD)であった。赤血球沈降速度、CRP、LDH値は、総糖代謝量の合計と正の相関を認めた(R2=0.3256、0.2409、0.4205、P〈0.05)。治療後の検査において、SUVmaxはLDH値と正の相関を認めた(R2=0.7285、P〈0.05)。【結論】18F-FDG PET/CTはLCHの診断および評価において有用な手段である。PET代謝パラメータは臨床検査の炎症マーカーと関連しており、18F-FDG PET/CTがLCHの疾患活動性の評価に役立つ可能性があることが示唆された。
6)「組織球性病変に由来するCD207弱陽性CD1a弱陽性の間質細胞の同定と特性評価‐薬物試験のインビトロモデルの視点」
Identification and characterization of stromal-like cells with CD207+/low CD1a+/low phenotype derived from histiocytic lesions - a perspective in vitro model for drug testing.
Śmieszek A, et al. BMC Cancer. 2024 Feb 12;24(1):105.
【背景】組織球症は、マクロファージや樹状細胞と同様の組織学的特徴をもつ病的骨髄細胞が、骨や皮膚などのさまざまな臓器に蓄積する稀な増殖性疾患である。この疾患の分子経路を明らかにする実験モデルは限られているため、組織球症に関する研究は困難である。本研究では、病型と転帰が異なる3例の小児の組織球症患者の病変から得られた前駆間質細胞の細胞生理学的特徴を比較した。この特徴的な細胞は薬物検査に応用できる可能性がある。【方法】細胞の表現型、つまりCD1aおよびCD207(ランゲリン)の発現をフローサイトメトリーで解析した。細胞遺伝学的分析としてGバンド分染核型とアレイCGHを行った。さらに、細胞形態と超微細構造を、共焦点顕微鏡および走査型電子顕微鏡を用いて評価した。共焦点顕微鏡写真を用いて、ミトコンドリアネットワークとその形態を再構築した。細胞生存率、ミトコンドリア活性、増殖などの基本的な細胞生理学的パラメーターは、アネキシンV/7-AAD染色、ミトポテンシャル分析、BrdUテスト、クローン原性分析、細胞周期内の細胞分布などの複数の細胞アッセイを用いて分析した。組織球症の進展に関連する可能性のあるバイオマーカーとして、mRNA、miRNA、lncRNAをRT-qPCRを用いて解析した。組織球症特異的タンパク質の細胞内蓄積をウェスタンブロットで検出した。ベムラフェニブとトラメチニブの細胞毒性とIC50を、MTSアッセイで測定した。【結果】得られた細胞モデル、つまりRAB-1、HAN-1、CHR-1は、表現型および形態は不均一であった。これらの細胞は、樹状細胞に特徴的なCD1a/CD207陽性であったが、間葉系細胞に特徴的なマーカー、すなわちビメンチンおよびオステオポンチンも細胞内に発現していた。細胞培養すると、細胞は生存可能で代謝活性は保たれ、ミトコンドリアネットワークはよく発達しており、各細胞株にはいくつかの形態的特徴が認められた。注目すべき細胞特異的なトランスクリプトーム特性があり、診断や予後を反映する潜在的な新しいバイオマーカー(非コーディングRNA)に関する情報が得られた。細胞は、ベムラフェニブとトラメチニブに対して異なる感受性を示した。【結論】得られた特徴的な組織球症病変に由来する間質様細胞の細胞モデルは、組織球症の病態研究や薬物試験に用いることが可能である。
7)「ダーモスコピーおよび反射共焦点顕微鏡による様々な解剖学的部位のLCH病変の所見」
Dermoscopy and reflectance confocal microscopy finding of different anatomic sites of Langerhans cell histiocytosis.
Zhang G, et al. Skin Res Technol. 2024 Jan;30(1):e13584.
【背景】LCHは希少疾患であるため診断が難しい可能性がある。反射共焦点顕微鏡(RCM)とダーモスコピーは、様々な皮膚疾患の診断に有用な非侵襲的な補助ツールとして開発された。しかし、LCHのRCMやダーモスコピーの所見に関する研究は進んでいない。LCHのRCMとダーモスコピー所見の特徴を明らかにすることを目的とした。【患者と方法】2016年9月~2022年12月に診療した40例のLCHを年齢、病変部位、臨床所見、RCMおよびダーモスコピー所見の特徴について、後方視的に分析した。異なる解剖学的部位による、臨床所見、RCMおよびダーモスコピー所見の相違点を明らかにした。【結果】病変部位は体幹31/40例(77.5%)、四肢21/40例(52.5%)、顔14/40例(35%)、頭皮11/40例(27.5%)、外陰部4/40例(10%)、爪2/40例(5%)であった。全てのLCH病変にRCMでの共通の特徴を認めた。臨床所見とダーモスコピー所見の特徴は、年齢と病変の解剖学的部位で有意な違いを認めた。頭皮、顔、胴体、四肢に共通するダーモスコピー所見の特徴は、紅斑性鱗片状発疹、赤紫色の球状または斑状皮疹、血管拡張を伴う瘢痕様の縞状皮疹であった。爪LCHの特徴は紫斑性線条、爪甲剥離、化膿性鱗状発疹であり、外陰部LCHの特徴はびらん性紅斑性斑と化膿性鱗状発疹であった。全てのLCHに共通するRCM所見の特徴は、表面ケラチン層における部分的な高反射の高密度像、表皮の構造的乱れ、真皮と表皮の接合部の不明瞭化、表皮および真皮における多数の多角形で大きな中程度の反射性の短い樹状突起の細胞であった。外陰部および爪病変のあるLCHでは、皮膚病変を認めなかった。【結論】RCMとダーモスコピーはLCHの診断と鑑別に有用である。
8)「ベムラフェニブと化学療法の併用により小児LCHに持続的寛解が達成された:多施設観察研究」
Vemurafenib combined with chemotherapy achieved sustained remission in pediatric LCH: a multi-center observational study.
Lei J, et al. J Cancer Res Clin Oncol. 2024 Jan 17;150(1):12
【背景】LCHは致命的となる可能性がある骨髄性腫瘍であり、症例の約2/3にBRAFV600E変異が関与している。BRAF阻害剤であるベムラフェニブは、LCHの臨床症状を顕著に改善することが実証されている。しかし、ベムラフェニブ中止後に、高率に再発することは依然として大きな課題であり、代替治療戦略のさらなる研究が必要である。【方法】後方視的多施設研究によって、重症または難治性LCH患者において、ベムラフェニブと従来の化学療法の併用の有効性と安全性を評価した。【結果】17例が研究に登録され、11例がリスク臓器病変陽性であった。6例は一次治療として併用療法を受け、11例は化学療法に抵抗性であったため併用療法を受けた。全体の奏効率は94.1%(16/17例)であった。全体の無増悪生存者の割合は、追跡期間の中央値32か月で、70.6%(12/17例)であった。奏効後に治療を中止した15例における無再発生存者の割合は、追跡調査の中央値34か月で、73.3%(11/15例)であった。BRAFV600E変異陽性の6例中5例(83.3%)が分子学的寛解を示した。全生存率は100%であった。有害事象はほとんどがグレード1または2であった。【結論】このデータは、ベムラフェニブと化学療法の併用により、小児LCHにおいて持続的な臨床的および分子学的寛解が達成でき、副作用は許容できることを示唆している。
9)「小児LCHにおける内分泌障害: 30年間の経験」
Endocrine features of Langerhans cell histiocytosis in paediatric patients: A 30-year review.
Alexander A, et al. J Paediatr Child Health. 2024 Jan;60(1):24-27.
LCHは炎症性骨髄腫瘍の特徴を示す稀な増殖性疾患である。LCHの内分泌障害、特に中枢性尿崩症(CDI)は、1940年代から症例報告や小規模コホートの報告がある。オーストラリアの小児データの報告は最近ほとんどない。【目的】オーストラリアのビクトリア州の三次小児科センターで治療を受けた小児LCH患者の内分泌障害の発生率を明らかにすることを目的とした。【方法】三次小児科センターで診療されているLCH患者の電子カルテと腫瘍データベースを後方視的に分析した。生検でLCHと確定できなかった例、記録が不完全な例は除外した。【結果】過去30年間に171例のLCH患者が見出され、141例がLCH診断から最終追跡調査時点まで、内分泌障害について評価された。診断時の平均年齢は5歳8か月であった。これらのうち、15%(21例)にCDI、7%(10例)に成長ホルモン欠乏症(GHD)、8%(11例)に複数の内分泌障害を認めた。40%(57例)は、調査時または退院時に思春期発来前であった。【結論】GHDやゴナドトロピン欠損は軽微であったり、発現が遅れたり、見逃されたりする可能性があるため、これらの欠損をチェックするにはCDIに加え、下垂体ホルモンの継続的な評価が必要である。三次医療施設から退院した後も、成長と思春期の進行を綿密に追跡することが不可欠である。
10)「シタラビン、ビンデシン、プレドニゾンの併用による、難治/再発の高リスク小児LCHの治療」
Treatment of children with refractory/relapse high risk langerhans cell histiocytosis with the combination of cytarabine, vindesine and prednisone.
Wang W, et al. BMC Pediatr. 2024 Jan 3;24(1):1.
【背景】リスク臓器病変陽性多臓器型LCH(MS-RO+ LCH)の予後は不良である。初期治療反応不良の多臓器型LCHの死亡率は高く、標準的な救済治療は確立されていない。シタラビン(Ara-C)、ビンクリスチン、プレドニゾン(PSL)の組み合わせは、難治/再発のMS-RO+ LCHに毒性が低く有効である可能性がある。【方法】単一センターにおいて、低用量Ara-C(100mg/m2/日×5日)または高用量Ara-C(500mg/m2/日×5日)にビンデシン(VDS)とPSLを併用する治療を受けた小児難治/再発MS-RO+ LCH患者を後方視的に解析した。有効性、転帰、有害事象を分析した。【結果】2013年1月~2016年12月に、低用量Ara-C化学療法(LAC)を受けた13例と、高用量Ara-C化学療法(HAC)を受けた7例を解析した。LACレジメンを受けた11/13例(84.6%)、HACレジメンを受けた6/7例(85.7%)が、4コース後に治療反応を示した。追跡調査期間中に全例が生存しており、3年無イベント生存率(EFS)はLAC群で53.7%、HAC群で85.7%であった。 最も頻度の高い有害事象はグレード1-2の骨髄抑制で、LACおよびHACレジメンを受けた例の38.5%(5/13)、42.9%(3/7)に認めた。【結論】Ara-C、VDS、PSLの組み合わせは、難治/再発MS-RO + LCHに効果的かつ安全であった。高用量のAra-CレジメンのほうがEFSは良好であった。