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JAPAN ACH STUDY GROUP 日本ランゲルハンス細胞組織球症研究グループ

本サイトは、LCHの患者さんやご家族の方々と医師との意見・情報交換の場です。

JLSGとは?

1)LCHとJLSG

ランゲルハンス細胞組織球症(LCH)は、かつてヒスチオサイトーシス-X (histiocytosis-X) と呼ばれていた稀な疾患です。長い間、病因不明とされてきましたが、最近では細胞内シグナル伝達系のRAS-RAF-MEK-ERK経路に遺伝子異常があることが同定され、今日では、骨髄に起源を有する抗原提示細胞の1つであるランゲルハンス細胞が単クローン性に増殖したもので、腫瘍性疾患と考えられています。臨床症状として骨、骨髄、皮膚、肺、肝臓、脾臓、中枢神経系など諸臓器が侵され多彩な症状を呈します。発症部位と侵される病変の数から、多臓器(MS)型と単独臓器型(SS型)に分類され、前者は生命予後にかかわる肝・脾・造血器病変の有無によってリスク臓器陽性型(RO(+))とリスク臓器陰性型(RO(-))に、後者は単一病変か多病変かでSS-s型とSS-m型に分類されます。発症年令のピークは0-3歳の年少児ですが、新生児から高齢者まで小児、成人ともに見られ、全体の2/3は小児期に、1/3は成人で発症します。発症率は20万人に1人といわれており、日本では年間の発症数は小児で60-70例と推計され、70%が10才以下と言われています。これまでLCHに関する治療研究は主に小児LCHで行われてきました。多発病変に対する治療は多剤併用化学療法になります。次項にも述べるように1996年以来、日本では多施設共同治療研究が行われています。LCHの生命予後は、MS-RO(+)型以外では、決して悪くないのですが、これらの治療にもかかわらず、頻回再発し治療に難渋する例、尿崩症、成長障害、中枢神経変性疾患などの晩期障害を呈する例、さらには2次性白血病発症例なども報告されQOLも含めた予後をより良いものにする必要に迫られています。

小児LCHに対するより良い治療をめざして欧米では1985年にHistiocyte Societyが樹立され毎年国際的な学術集会が施行されるようになりました。特にヨーロッパを中心に大規模なグループによるLCHの治療研究も行われていました。日本ではこれまでその様な取り組みはありませんでした。1996年6月に本邦における小児LCHの最適な治療を確立することを目的として、LCHに関心のある全国の小児科医が集まりJapan LCH study group (JLSG) を立ち上げ、グループスタディを開始しました。その後はJLSGが中心になって、毎年、学術集会であるLCH研究会を施行して来ました。一方、LCHの患者様・ご家族が意見交換の出来るLCH患者会も1998年に始まりました。その後、2009年にはJLSGはNPO法人化され今日に至っています。この間、成人LCH症例の把握や治療研究は大変遅れていましたが、最近では成人LCH症例の集積もなされ、成人LCHに対する多施設治療研究への機運も高まってきています。 しかし、LCHの大きな問題点の一つは症状が皮膚、骨、耳、中枢神経、肝、歯、呼吸器、内分泌関連など多岐にわたるため、患者さまが最初に受診される科も皮膚科・整形外科・耳鼻科・脳外科、消化器内科、歯科口腔外科、呼吸器内科、内分泌内科などさまざまで、必ずしも初診時にそれぞれの科で的確な診断や治療が行われているとは言えない状況です。LCHと確定診断されるまでに、非常に時間がかかる場合も少なくありません。

もう一点、LCHは、稀な疾患Orphan Disease(みなしご病)の一つであることです。すなわち、希少疾患であることで、その治療において有効な薬剤が(健康保険制度下で適応症として認められていないために)使えないことが挙げられます。Orphan diseaseとされる疾患は数多くあり、このような疾患では治療研究・特に治療薬の開発が遅れていることが問題視され、現在ではLCHに関する問題点も、これらの希少・難治性疾患克服を目指す国際会議(ICORD)でも取り上げられています。

LCHという疾患をより多くの方々に知っていただこうと、このホームページは2005年に開設され、その後、updateされて来ました。LCHの病態解明・より良い治療法の開発に少しでもお役に立てればと思います。

2017年7月
NPO法人JLSG 理事一同

2)JLSGの目的

小児・成人を含めたLCHに対する多施設共同治療研究や学術集会を行い、Orphan Disease であるLCHの病態のさらなる解明・より良い治療法の開発を目的としています。

3)組織

1996年にLCHに関心のある全国の小児科医が世話人として集まり結成されました。多施設共同治療研究、年1回の世話人会、年1回の学術集会を行って来ました。2009年以降はNPO-JLSGとして事務局を京都府立医科大学小児科医局内(電話075-251-5571、FAX075-252-1399)に置き活動を行っています。

4)JLSG世話人名簿(氏名、所属)(2009年5月:NPO発足前)

世話人

氏名所属
浅見 恵子新潟県立がんセンター新潟病院 小児科
今村 俊彦京都府立医科大学小児科
石井 栄一愛媛大学 小児科
金兼 弘和富山大学 小児科 小児科
神薗 淳司北九州市立八幡病院 小児救急センター
衣川 直子千葉こども病院
工藤 寿子静岡県立こども病院血液腫瘍科
圀府寺 美中野こども病院 小児科
小林 良二札幌北楡病院 小児科
迫  正廣マリア保育研究所
佐藤 貴広島大学 小児科
塩田 曜子国立成育医療センター固形腫瘍科
藤本 純一郎国立成育医療センター研究所 発生分化研究部
別所 文雄杏林大学医学部 小児科
堀部 敬三国立病院機構名古屋医療センター 小児科
前田 美穂日本医科大学 小児科
水谷 修紀東京医科歯科大学 小児科
麦島 秀雄日本大学医学部 小児科
森本  哲自治医科大学 小児科
脇口 宏高知大学医学部 小児科

コンサルタント

氏名 所属
今宿 晋作高砂西部病院顧問
恒松 由記子こども教育宝仙大学こども教育学部

5)NPO-JLSG理事名簿(氏名、所属)(2017年6月末現在)

役職名氏名 所属
理事長今宿 晋作宇治徳洲会病院 小児科
副理事長今村俊彦京都府立医科大学 小児科
理事衣川直子(前)湘南鎌倉総合病院 小児科
理事塩田曜子国立研究開発法人 国立成育医療研究センター 小児がんセンター
理事恒松 由記子順天堂大学小児科/国立成育医療研究センター
理事東條有伸東京大学医科学研究所 先端医療研究センター 分子療法分野
理事東道伸二郎東道医院
理事日比成美日比小児科クリニック
理事森本 哲自治医科大学 小児科
理事綱本健太郎つなもと医院