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プロトコール紹介
JLSG-02 protocol [PDFファイル 197KB]
1996年、多病変LCHに対する本邦初の統一プロトコールJLSG-96が開始されました。JLSG-96プロトコールの登録症例は1996年から2001年までに計120例で、未治療の新規症例が101例、既治療例は19例でした。そのうちの90例についてのデータ解析が可能でした。

プロトコールAでは、SM型33例のうち32例(97%)が寛解に入りましたが、MM型45例では寛解に入ったのは23例(51%)のみでした。MM型の残り症例は部分寛解が13例(29%)、無反応あるいは進行病変となったのが9例(20%)でした。再発はSM型で10例(32%)、MM型で5例(22%)にみられました。尿崩症は78例中7例でみられましたが、死亡例はMM型の1例のみでした。一方、プロトコールBは既治療症例、プロトコールA後の再発例、ならびにプロトコールA不応例に対して用いました。このプロトコールBで寛解が得られたのはSM型で9例中9例の全例(100%)でしたが、MM型では31例中13例(42%)のみでした。また、この治療群ではその後の再発が5例にあり、死亡例も3例見られました。

プロトコールAとBの生存曲線を、図3・4と図5・6に示します。プロトコールA(新規症例)の4年無病生存率と粗生存率は、SM型で68%・100%、MM型で34%・97.5%でした。また、プロトコールB(再発例・不応例)の4年無病生存率と粗生存率は、SM型で50%・100%、MM型で26%・89%でした。粗生存率でみるとLCHの予後は良いが、無病生存率でみると病気を持ちながら生存している症例が多いことがわかりました。

JSLG-96プロトコールの成績を海外の治療成績と比較してみますと(表1)、寛解導入率や再発率は同等ですが、MM型での死亡率がわれわれのプロトコールでは僅かに2%と極めて低いことが明らかとなりました。

これらのJLSG-96の治療成績に基づき、多発病変の新規LCH症例を対象とした、新たな統一プロトコールJLSG-02が2002年から行われています。JLSG-02プロトコールは、寛解導入率の向上と再発率の低下をめざし、以下の点を改変しました。

1. 6週間の初回寛解導入治療中、PSLの投与連日
2. 急激な進行性経過をとる症例のためにCyAを含むB2プロトコールの設定
3. late intensificationとして新たに維持療法C(4.5か月)を追加
4. 治療期間を計12か月に延長

これらに加え、LCHの病勢を反映する生化学マーカーをみいだすための研究、成人LCHに対するパイロットスタディも盛り込んでいます。

現在まで、3年間で100例を超える症例登録をいただいています。今後とも新規症例の登録をよろしくお願いいたします。
対象
プロトコール
Drugs
治療期間
寛解
再発
DI
死亡
追跡期間
(y)
SM
DAL-
HX83/90
VBL/VP16
12m
34
95%
17%
4%
0%
3.9-11.5
PSL/6MP
SM
JSLG-96
AraC/VCR
7.5m
33
97%
30%
3%
0%
0.8-4.8
MTX/PSL
MM
Egeler et al
AraC/VCR/PSL
12m
18
72%
17%
22%
11%
0.3-13
MM
LCH1
VBL/mPSL
6m
74
58%
61%
22%
23%
VP16/mPSL
6m
69
65%
55%
23%
17%
MM
DAL-
HX83/90
VBL/VP16/PSL
12m
63
79%
30%
22%
19%
4-11.7
6MP/MTX
MM
JLSG-96A
AraC/VCR/MTX/PSL
7.5m
45
51%
22%
13%
2%
0.4-4.6
JLSG-96A+B
ADR/CPM/VCR/PSL
39
74%
表1 他のプロトコールとの治療成績の比較
薬剤
投与日
1〜5
15〜19
28
29〜33
35
36
 
38
Ara-C
6hr-div
(100mg/m2/d)

連日

連日

連日
   
VCR
iv
(0.05mg/kg/d)
Day1
Day15
Day29
   
PSL
po
---------------
2mg/kg/d
-----------
1mg/kg/d
-------
0.5mg/kg/d
表2 JLSGプロトコール;寛解導入療法


図1新規症例初診時年齢分布


図2.新規症例初診と気浸潤臓器


図3.JLSG-96プロトコールA(新規症例):無病生存率曲線


図4.JLSG-96プロトコールA(新規症例):粗生存率曲線


図5.JLSG-96プロトコールB(難治例/再発例):無病生存率曲線


図6.JLSG-96プロトコールB(難治例/再発例):粗生存率曲線